80年続く連続ドラマを一緒に見ないか?

野球は人生そのもの。そういうシーンに出くわすと涙もろくなる年頃のプロ野球観戦記。タイトルは中日ファンの作家である奥田英朗さんの名言を一部お借りしています。

2005年8月3日 東京ドーム散歩

ふとした思いつきから、夜の東京ドームをお散歩。
試合はない日だったけど、遊園地もドームも適度にライトアップされていて雰囲気がある。
正面ゲートからぷらぷら歩いて外野席入口まで来て驚いた。
そこには12球団のマークが入ったモニュメントがあった。
いつも試合を見るときはダッシュで球場に向かうから気付かなかったんだ。

近付いてみる。
東京ドームが出来た1988年当時の12球団が刻んである。
大洋、阪急、南海、そして近鉄
ロッテはオリオンズ。日ハムは東京の文字入り。
これを見るだけで、モニュメントが出来てからの17年にいろいろな変化があったことが分かる。

子供の時ファンだった巨人の松本匡史は、東京ドームの完成と同時に戦力外になった。
東京ドームはそれまでの後楽園より外野が広いので、肩に古傷を持つ松本は残してもらえなかったらしい。
同時に江川も引退したので、松本の引退は陰に隠れた小さな記事だったけど、当時中学生の私には激しい衝撃だった。それまで「好きな選手が永遠にグラウンドで見られなくなる」なんて考えたことすらなかったのだ。
あの引退発表の日、無邪気に目の前の試合を楽しむことのできた時代も終わった。
「好きな球団が永遠にグラウンドで見られなくなる」ことがあるということに気がつくのは、それから16年後であるが…

モニュメントのマークのうち、同行の年下の友人は大洋のWマークが分からなかった。
きっと今の子供に見せたらもっと分からないのだろう。
15年後の子供はどうかな?

分からなくていいと思う。
ゴタゴタが全部過去の話になってたらいい。
もしかしたら来年は球団がなくなるかもしれないとなったら、
「今年がダメでも来年こそは優勝だ!」なんて強がりすら言えなくなるから。
応援している選手の来期のトレードの噂がシーズン中に出るだけでも辛いのに、球団がなくなるという辛さは、もう誰も味わわなくていい。

無邪気に試合を楽しめる日が、一日も長く続きますように。