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80年続く連続ドラマを一緒に見ないか?

野球は人生そのもの。そういうシーンに出くわすと涙もろくなる年頃のプロ野球観戦記。タイトルは中日ファンの作家である奥田英朗さんの名言を一部お借りしています。

2006年1月10日 大阪ドーム

昨日は例の合併騒動以来、遠ざかっていた大阪ドームにとうとう足を踏み入れた。
千代崎の駅から地上に出てすぐに違和感を感じたのは、工事をやってて木が減ってるからだろうか?
でももっと決定的に違う。何だろう何だろう何だろう?

その疑問はすぐに解決した。
匂いだ。ドーナツ屋がなくなっているからだ。
いつも来る度に、甘い匂いと「観戦券をお持ちの方には割引」のポスターの誘惑に負けていたのだが、もうその心配はないようだ・・・・・・さみしい。
全般的に色が褪せて感じるのは、冬に来たことがないせいと、思い出が美化されはじめているせいだろう。
未練たらしく球場周辺をうろついて、覚悟を決めてから本丸突入。

今回はマスターズリーグを見にきたのだけど、主目的は阪急の応援団長・今坂さんの復活応援。
初めて聞く阪急の応援歌の数々に嬉しくなる。
やっぱり歌は歌われて活きるものだよね。
試合開始直後から終了後まで「声を聞いて懐かしくて…」と次々にファンの方が団長さんに挨拶に来ていて、胸が熱くなった。
一番素敵だったのが、幼い女の子に阪急帽かぶせて阪急旗持たせてやってきたお父さん。
団長の膝に子供を乗せて、自分は二歩ほど下がってカメラを手にしたのだけど、そのまま感激の面持ちで「ええわあ。。いい図や…。」と何度も頷く。感無量のあまりシャッターを押すことが出来ないようだ。こういう人に会えただけでも、遠征してきて良かった!

かつて大阪ドームに足繁く通っていた時は球場はいつもガラガラで、内野自由席のいつも同じお気に入りの席で試合を見ていた。
試合終了後、リトルリーグの子達が大阪ロマンズの選手から野球を教わる、というイベントを見るふりをして、‘定位置’にしばらく座っていた。 
馴染みの角度でマウンドを見る。
次に観客席を見る。あの辺は声のでかいあのおっちゃんの席で、この前の方はモモコ一家で、と記憶を辿っているうちに、自分が失ったものが分かってきた。
どうして去年はいくら試合を見ても満たされなかったのかも。


まだ漠然と見えてきただけだけど、言葉に出来るようになった瞬間に‘それ’を完全に失うだろう。その時には、失ったことを悲しむより、一時期でも‘それ’を持っていたことが幸せだったんだと心から言えるようになるのだろう、きっと。