80年続く連続ドラマを一緒に見ないか?

野球は人生そのもの。そういうシーンに出くわすと涙もろくなる年頃のプロ野球観戦記。タイトルは中日ファンの作家である奥田英朗さんの名言を一部お借りしています。

2006年3月17日 最終電車

「この電車は、1963年…昭和38年から本日まで運行してまいりました113系湘南電車の最終電車です。」

聞きなれないアナウンスに車内がざわめいた。
23時13分。東京駅。
おもむろに扉が閉まり、ゆっくりと走り始める。
フラッシュが光る。
ホームにはあふれんばかりの人。
手を振る人もいる。
プラカードをかかげている人もいる。
車内にいる私にもホームからの「さよなら」の叫び声が聞こえる。

へたり気味の座席。冷たい窓枠。冬の隙間風。
柔らかさを感じる塗装。ゴトゴトという優しい音。
全部ひっくるめて大好きだった、この電車。


残業が長引いたおかげで、思いがけず113系の最終運行に立ち会うことができた。
東京駅では多くの人が手を振っていて、沿線にはずっとカメラを持った人が並んでいて、最後なんだなとしみじみ。

いつもいつも一人では抱えきれないことが起きると、列車に乗ってぼんやり外を眺めることで自分を保っていた。
この113系にも、ほんとお世話になった。

窓枠に昭和46年の日付が落書きで彫りこまれた113系に乗ったこともある。
そんないたずらをした子供(たぶん)も今はきっと40歳前後。 
私が生まれる前からそんな落書きを背負って走ってきた愛しい電車に、もう乗れないなんて。