読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

80年続く連続ドラマを一緒に見ないか?

野球は人生そのもの。そういうシーンに出くわすと涙もろくなる年頃のプロ野球観戦記。タイトルは中日ファンの作家である奥田英朗さんの名言を一部お借りしています。

2006年10月1日 楽天×ロッテ@フルスタ 飯田哲也篇

ヤクルトスワローズを戦力外となり、楽天にやってきた飯田哲也

足の速い選手が好きだから飯田にも好感を持っていたけれど、思い入れがある選手、とまではいえないと思っていた。

ところが、1回表の守備のためにセンターに走る飯田を見た途端、高校生のとき、同じ宮城球場で見たヤクルト戦が強烈に蘇った。
初めて神宮球場に行ったときも、2001年の日本シリーズで若松監督の胴上げを見せつけられたときも、そういえば飯田はいつもいた。
派手に目立つ選手ではなかったけれど、記憶にはしっかり残っている。
長年第一線で活躍したというのは、こういうことなんだ。

 

この日の飯田の背中は切なかった。
守備が終わりベンチに戻るとき、打席に立っても塁に出れずにベンチに戻るとき、「これでまた一つ終わってしまった」と背中が言っているようだった。

9回裏、2アウト。9番、代打リック。
彼が塁に出れば、飯田にまわる。
ネクストバッターズサークルにいる飯田と言葉を交わすリック。
飯田はこの日、安打を打っていない。もう一度打席に立ちたいはずだ。
リックもその思いをよく分かっていたのだろう、バットを握る手が力んでいた。
そして、その状態でいい球が打てるはずもなく、打球はぼてぼてと二塁手の前に転がった。
審判のアウトのコールが響き、飯田が涙をぬぐった。
ベンチへ帰るリックの足取りもとても重かった。

漫画のような映画のような劇的なことはそうそう起きるわけではない。
わかってはいるけれど、毎年毎年この季節には切ないことがたくさんある。